人事・労務系の資格・検定一覧

人事系・労務系の職種は、企業・組織に所属する人材を支え、かつ、働き方改革の中核となる、非常に重要な職種の一つです。
「人事・労務系の職種への就職・転職に向けて、役に立つ資格を取得したい」「既に人事・労務系の職種として働いており、スキルアップして仕事の幅を広げたい」と考えている社会人・大学生の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、人事・労務系の職種の方におすすめの資格・検定を一覧にして紹介します。人事・労務領域でのスキルアップ・キャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。


 

人事・労務系の資格・検定一覧

資格/検定名称種類開始年度合格者数
(R2)※1
合格率
(R2)※1
社会保険労務士国家
資格
1969年2,237人6.4%
キャリアコンサルタント国家
資格
2016年1,197人(学科)
1,325人(実技)
63.9%(学科)
63.6%(実技)
産業カウンセラー民間
資格
1992年1,323人(学科)
546人(実技)
67.5%(学科)
72.4%(実技)
メンタルヘルス・
マネジメント検定
公的
資格
2006年272人(Ⅰ種)
5,840人(Ⅱ種)
4,361人(Ⅲ種)
21.3%(Ⅰ種)
56.5%(Ⅱ種)
86.4%(Ⅲ種)
衛生管理者免許国家
資格
1989年32,026人(第一種)
18,511人(第二種)
46.8%(第一種)
55.2%(第二種)
労働安全/衛生コンサルタント国家
資格
1972年318人(安全)
271人(衛生)
24.5%(安全)
35.1%(衛生)
ビジネス・キャリア検定
(人事・人材開発・労務管理)
公的
資格
2007年3人(1級)
250人(2級人事・人材開発)
309人(3級人事・人材開発)
169人(2級労務管理)
409人(3級労務管理)
19%(1級)
59%(2級人事・人材開発)
65%(3級人事・人材開発)
31%(2級労務管理)
46%(3級労務管理)
マイナンバー実務検定/
マイナンバー管理士・保護士
民間
資格
2015年(詳細不明)(詳細不明)
働き方改革検定民間
資格
2017年(詳細不明)(詳細不明)
人事総務検定民間
資格
2017年(詳細不明)(詳細不明)

※1 衛生管理者免許、労働安全/衛生コンサルタントについては2019年度の試験結果

各資格・検定の概要

社会保険労務士(社労士)

社会保険労務士(社労士)は、社会保険労務士法に基づいて認定される国家資格であり、主に、社会保険や労働関連の法律の専門家として人事や労務管理全般に携わります。

社労士の主な業務は、次のとおりです。

  1. 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出手続代行(1号業務)
  2. 労働関係の紛争解決手続代理
    ※紛争解決手続代理業務試験に合格し、「特定社会保険労務士」の資格を取得した者のみ
  3. 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)
  4. 人事労務管理のコンサルティング(3号業務)

上述のうち、1から3までの業務については、国家資格に基づく社労士の独占業務となります。
社労士取得後は、社労士事務所での勤務のほか、社労士として独立、企業内社労士として勤務、等のキャリアが挙げられます。

社労士になるには原則として社労士試験に合格する必要があります。試験は完全マークシート(択一式・選択式)で、労働・社会保険諸法令を中心とする全8科目から出題されます。
弁護士や税理士と並ぶ八士業の一つであり、合格率10%以下と難易度も非常に高いため、合格するためには十分な勉強と対策が必要になります。

資格の概要については以下のリンクもご参照ください。

【参考】
社会保険労務士試験オフィシャルサイト



キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、2016年より国家資格となった登録制の名称独占資格です。その名の通り、「キャリアコンサルティング」を行う専門家であり、職業選択職業生活設計又は職業能力の開発・向上に関して、労働者の相談に応じ、助言や指導を行います。

企業内で従業員のキャリア形成支援を担うほか、大学・行政機関・人材紹介・人材派遣・再就職支援業界等において、就職希望者からのキャリア相談に応じるなど、多様な役割・立場においてその資格を活用できます。

キャリアコンサルタント試験は学科試験と実技試験(論述・面接)に分かれており、キャリアコンサルティングの理論・実務等や職業能力開発促進法等の法律知識を問う科目が中心となります。
また、受験資格として3年以上の実務経験が求められており、それを満たさない場合には指定された講習を受ける必要があります。

2021年3月末時点で6万人弱が登録しており、5年前に創設された新しい資格ではあるものの、その規模を急速に拡大しています。

資格の概要については以下のリンクもご参照ください。

【参考】
キャリアコンサルタント試験 トップページ
厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
キャリアコンサルタントWebサイト登録センター トップページ

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、一般社団法人産業カウンセラー協会が認定を行う民間資格です。1992年から2001年までは、当時の労働省が認定する技能審査資格であり、公的資格でしたが、2001年度をもって技能審査から除外されたため、以降は民間資格となっています。
心理学的手法を用いて、働く人たちが抱える問題を、自らの力で解決できるように援助することを主たる業務としています。

産業カウンセラーの活動領域は以下の通りです。

  1. メンタルヘルス対策への援助
  2. キャリア開発への援助
  3. 職場における人間関係開発への援助

産業カウンセラー試験では、学科試験と実技試験(ロールプレイング、口述試験)の両方に合格する必要があります。学科試験では、カウンセリングに関する基礎的な知識や、カウンセリングの基本的な事例への対応能力および傾聴技法に関して問われます。
また、産業カウンセラーの上位資格として、組織開発・ コンサルティングなどをさらに深く総合的に取り扱う「シニア産業カウンセラー」も設置されています。
なお、産業カウンセラーの受験資格を得るためには、日本産業カウンセラー協会が行う産業カウンセラー養成講座を修了するか、大学院の所定学部において所定科目を履修し、修了する必要があります。

【参考】
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会「産業カウンセラー試験」
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会東北支部「産業カウンセラーとは」

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定とは、従業員の心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指して、メンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得することを目的とした検定となります。大阪商工会議所及び施行商工会議所が主催しています。

同検定では、職位・職種別に、三つのコースが以下の通り設定されています。

  1. Ⅰ種(マスターコース)
    • 対象:人事労務管理スタッフ、経営幹部
    • 目的:社内のメンタルヘルス対策の推進
  2. Ⅱ種(ラインケアコース)
    • 対象:管理監督者(管理職)
    • 目的:部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進
  3. Ⅲ種(セルフケアコース)
    • 対象:一般社員
    • 目的:組織における社員自らのメンタルヘルス対策の推進

主にメンタルヘルスケアの知識・技法や企業内でのメンタルヘルス対策に関しての内容が出題され、Ⅰ種は選択問題・論述問題、Ⅱ種・Ⅲ種は選択問題となります。

【参考】
大阪商工会議所「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 試験のご紹介」

衛生管理者免許

衛生管理者は、職場における労働者の健康障害を防止することを目的として選任される役職であり、一定以上の規模の事業者においては必ず選任しなければならないことが労働安全衛生法で定められています。
衛生管理者になるためには所定の資格要件を満たさなければならず、その一つが衛生管理者免許となります。
※衛生管理者の要件は業種ごとに異なります。

衛生管理者の主な職務は、労働者の健康障害を防止するための作業環境管理、作業管理及び健康管理、労働衛生教育の実施、健康の保持増進措置などです。

衛生管理者免許は第一種と第二種に分かれており、第一種免許を有する者はすべての業種の事業場で衛生管理者となることができるのに対し、第二種免許の場合は有害業務と関連の少ない一定の業種に限定されます。

試験では、第一種・第二種ともに、関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)、労働衛生、労働生理の3つの科目から択一式問題が出題され、第二種の場合は有害業務に係る内容は除いて出題されます。
また、受験資格として、労働衛生の実務経験が1年以上(高卒の場合は3年以上)が求められます(詳細な受験資格は参考ページをご参照ください)。

【参考】
公益財団法人安全衛生技術試験「資格の紹介 衛生管理者(第一種及び第二種)」
厚生労働省「労働安全衛生法関係の免許について」
厚生労働省「よくある質問 衛生管理者について教えて下さい。」

労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント

労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタントとは、厚生労働大臣が認めた労働安全・労働衛生のスペシャリストとして、労働者の安全衛生水準の向上のため、事業場の診断・指導を行う国家資格です。いずれも労働安全衛生法(第81~87条)に規定されています。

いずれについても、公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施する試験に合格し、指定の名簿に登録する必要があります。
試験はいずれも筆記試験(一次)、口述試験(二次)となっており、科目についてはそれぞれ以下の通りです。

  • 労働安全コンサルタント
    • 産業安全一般(択一式)
    • 産業安全関係法令(択一式)
    • 機械安全、電気安全、化学安全、土木安全、建築安全(5科目のうちいずれか1科目を選択、記述式)
  • 労働衛生コンサルタント
    • 労働衛生一般(択一式)
    • 労働衛生関連法令(択一式)
    • 健康管理、労働衛生工学(2科目のうちいずれか1科目を選択、記述式)

また、受験資格としては、原則として大学卒業+実務経験5年以上か、もしくは安全/衛生に関連する資格保有・試験合格が必要となります。それぞれの詳細は下記の参考ページをご確認ください。

【参考】
厚生労働省「労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント」
e-Gov法令検索「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」
公益財団法人安全衛生技術試験「受験資格 労働安全コンサルタント」
公益財団法人安全衛生技術試験「受験資格 労働衛生コンサルタント」

ビジネス・キャリア検定(人事・人材開発・労務管理)

ビジネス・キャリア検定とは、職務を遂行する上で必要となる知識の習得と実務能力の評価を行うことを目的とした試験です。中央職業能力開発協会が試験を運営しており、厚生労働省の後援を得ています。
国家資格ではないため、業務独占・名称独占などの恩恵はありませんが、資格・検定が少ないビジネス領域における個人の自己研鑽や従業員向けの能力開発のために活用される検定となります。

ビジネス領域ごとに全8分野の検定が設けられており、人事・労務系の分野として「人事・人材開発・労務管理」が設定されています。
「人事・人材開発・労務管理」分野は1級から3級までの等級があり、それぞれ以下を受験対象者として想定しています(受験資格ではないため、その能力に応じて誰でも自由に受験できます)。

  • 1級:実務経験10年以上(部長、ディレクター相当職を目指す方)
  • 2級:実務経験5年以上(課長、マネージャー相当職を目指す方)
  • 3級:実務経験3年以上(係長、リーダー相当職を目指す方)

また、2級・3級では、「人事・人材開発」と「労務管理」を別区分としており、それぞれの試験範囲は以下の通りとなっています。

  • 人事・人材開発:人事企画、雇用管理、賃金管理、人材開発、人事・人材開発をめぐる社会的動向
  • 労務管理:労使関係、就業管理、労働安全衛生・福利厚生、労務管理に関係するその他の重要な法律、その他

【参考】
中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定」
中央職業能力開発協会「『人事・人材開発・労務管理』分野」



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