金融系の資格・検定一覧

銀行・証券・保険等をはじめとする金融業界は、業法による規制が多く、業務を行うために必要な資格や、業界団体が認定する資格が多数あります。

本記事では、金融業界(銀行・証券・保険・消費者金融等)で働く方や金融業界への就職を目指す方におすすめの資格・検定を一覧にして紹介します。金融業界でのスキルアップ・キャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

金融系の資格・検定一覧

資格/検定名称種類年間
試験
回数
合格者数
※1
合格率
※1
証券外務員公的
資格
1回3,425人(一種)
1,878人(二種)
74.6%(一種)
68.9%(二種)
証券アナリスト(CMA)
※2
民間
資格
2回1,422人(第2次)
3,851人(第1次)
52.1%(第2次)
53.8%(第1次)
国際公認投資アナリスト(CIIA)
3
民間
資格
1回26人(第1単位)
29人(第2単位)
66.7%(第1単位)
69.0%(第2単位)
CFA(Chartered Financial Analyst)
※4
民間
資格
2回6,989人(Level3)
8,290人(Level2)
7.607人(Level1)
43%(Level3)
46%(Level2)
27%(Level1)
アクチュアリー民間
資格
1回55
ファイナンシャル・プランニング技能士国家
資格
3回
※6
511人(1級)
12,355人(2級学科)
11,567人(2級実技)
28,011人(3級学科)
27,574人(3級実技)
97.7%(1級)
49.2%(2級学科)
57.4%(2級実技)
89.6%(3級学科)
88.0%(3級実技)
AFP (Affiliated Financial Planner)民間
資格
CFP (Certified Financial Plannner)民間
資格
2回886人(全科目)7.5%(全科目)
DCプランナー※7公的
資格
通年293人(1級)
1,069人(2級)
39.8%(1級)
52.7%(2級)
貸金業務取扱主任者※8国家
資格
1回3,373人32.2%

※1:脚注に記載のない限り、合格者数及び合格率は、2020年度実施回の結果を記載(1年間に複数実施している場合は、2020年度の最後の実施回の結果を記載)
※2:第2次レベルは年1回のみ。合格者数・合格率は2021年度の結果を記載。
※3:日本国内の結果のみを記載
※4:2021年11月の全世界での試験結果を記載。2021年は例外的に計5回の試験を実施
※5:科目別の合格率を「アクチュアリー」の章にて掲載
※6:1級は年間1回
※7:2021年度から試験方法が大幅に変更
※8:2021年度の結果を記載

各資格・検定の概要

証券外務員(外務員)

証券外務員(外務員)とは、証券会社や銀行等に所属しており、金融商品の販売・勧誘等を行う人を指します。

外務員は金融商品取引法(第64条)に規定されており、外務員に登録されるためには、日本証券業協会が主催・実施している外務員資格試験に合格する必要があります。
法律上、金融商品の販売・勧誘等を行うには外務員登録が必要となるため、証券会社や銀行などの金融機関で金融商品を扱う場合には必須の資格とされています。
※なお、金融商品取引法では、証券外務員の「試験」に関する規定はなく、日本証券業協会が外務員登録を行う上で独自に試験を行っているという位置づけになるため、外務員資格試験は国家資格には分類されません(本サイトでは「公的資格」として扱います)。
※外務員登録が必要となる業務の詳細については、金融商品取引法第64条をご確認ください。

外務員資格試験には一種と二種があります。
二種は現物(株式市場での株式の取引や商品市場での商品)のみ扱うことができるのに対して、一種は信用取引、デリバティブ取引を含めたすべての有価証券に関係する業務を行うことができます。

一種・二種のそれぞれの試験概要は以下の通りです。

  • 出題科目
    • 法令・諸規則:金融商品取引法及び関連法令、金融商品の勧誘・販売に関係する法律、協会定款・諸規則、取引所定款・諸規則
    • 商品業務:株式業務、債券業務、投資信託及び投資法人に関する業務、付随業務、デリバティブ取引(デリバティブ取引は一種のみ)
    • 関連科目:証券市場の基礎知識、株式会社法概論、経済・金融・財政の常識、財務諸表と企業分析、証券税制、セールス業務
  • 出題形式
    • ○×方式(一種:70問、二種:50問)
    • 五肢選択式(一種:30問、二種:20問)

【参考】
日本証券業協会「外務員資格/基礎試験」
日本証券業協会「外務員資格試験制度」
e-gov 法令検索「金融商品取引法」

証券アナリスト(CMA)

証券アナリストとは、証券会社などの金融機関等において、企業や業界に関する様々な情報をもとに、将来のリターンやリスクを予測して企業の価値を分析・評価し、その結果に基づくレポートの作成や、投資を考えている顧客への助言・サービスを行う証券投資・企業評価のプロフェッショナルです。

「証券アナリスト」は上記の職業を指す一般名詞ですが、証券アナリストとしての専門知識を有していることを証明するための資格が複数あります。

CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

CMA(Certified Member Analyst)とは、日本証券アナリスト協会が認定する証券アナリスト資格です。民間資格ではありますが、2021年9月時点で資格所有者は27,000人以上にのぼります。

CMA資格の取得には、第1次レベル・第2次レベルの2段階の講座受講・試験合格のほか、3年間の実務経験が必要となります。

  1. 第1次レベル講座【受講+受験】
    • 3科目:「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」「財務分析」「経済」
  2. 第2次レベル講座【受講+受験】
    • 4科目:「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」「コーポレート・ファイナンスと企業分析」「市場と経済の分析」「職業倫理・行為基準」

【参考】
日本証券アナリスト協会「ホーム」
日本証券アナリスト協会「CMA第1次レベル講座 試験データ」
日本証券アナリスト協会「CMA第2次レベル講座 試験データ」
日本証券アナリスト協会「CMA資格とは」

CIIA(国際公認投資アナリスト)

国際公認投資アナリストCertified International Investment AnalystCIIA)は、各国の資本市場の多様性を尊重しつつ、国際的に通用する証券アナリストを育成することを目的に、非営利法人ACIIA(Association of Certified International Investment Analysts)によって運営・管理されている国際的な資格です。

2022年5月時点では、世界32か国/地域にてCIIAを保有することによるメリットを得ることができます。具体的には、中国やイタリアなど8つの国では、金融市場当局において公的に認められた資格とされているほか、イギリスやギリシャなどでは国内の証券アナリスト資格試験の一部/全部の免除が認められています。詳細は、下記リンク(ACIIA)よりご確認ください。
The Association of Certified International Investment Analyst, “CIIA PASSPORT & RECOGNITION”

CIIA試験は、各国固有試験(National Specific Exam)と国際共通試験(International Common Exam)で構成され、国際共通試験には、基礎試験(Foundation Examination)と最終試験(Final Examination)があります。

日本の場合、CMAの資格所有者は、国際共通試験の最終試験のみの合格でCIIA資格が取得できます。
国際共通試験の最終試験は、第1単位・第2単位の2単位に分かれており、双方に合格する必要があります。
試験構成は、「事例問題」、「論証問題」、「推論的な問題(計算問題を含む)」となっています。

  • 第1単位:コーポレート・ファイナンス、経済、財務分析、株式分析
  • 第2単位:債券分析、デリバティブ分析、ポートフォリオ・マネジメント

なお、CIIAの試験内容の詳細は、以下リンクよりご確認ください。
https://www.aciia.org/the-ciia-diploma/course-content-exams

【参考】
The Association of Certified International Investment Analyst, “HOME”
日本証券アナリスト協会「国際公認投資アナリスト(CIIA)」
日本証券アナリスト協会「国際公認投資アナリスト 試験データ」

CFA(Chartered Financial Analyst)

CFAとは、CFA Institute(CFA協会)が主催するアメリカの証券アナリスト資格です。

1963年より開始され、2021年時点では、世界165か国で16万7000人以上のCFA資格保有者がいるなど、金融や投資の分野において世界的に通用する資格であるとされています。

試験は、LevelⅠからⅢまでの3つのレベルが設けられており、LevelⅠから順に受験・合格していくこととなります。
2021年2月試験よりCBT試験が導入され、Level Ⅰは年4回、LevelⅡ・Ⅲは年2回受験できるようになりました。また、LevelⅠ・Ⅱはすべて多岐選択式、LevelⅢは半分が多岐選択式、半分が記述問題となっています。

具体的な試験科目及びレベル別の比重は以下の通りです。

科目LevelⅠLevelⅡLevelⅢ
倫理基準/職業行為基準
(Ethical and Professional Standards
15-2010-1510-15
定量分析手法
(Quantitative Methods)
8-125-100
経済学
(Economics)
8-125-105-10
財務諸表分析
(Financial Statement Analysis)
13-1710-150
コーポレートガバナンス/ファイナンス
(Corporate Issuers)
8-125-100
株式投資
(Equity Investments)
10-1210-1510-15
債券
(Fixed Income)
10-1210-1515-20
デリバティブ
(Derivatives)
5-85-105-10
オルタナティブ投資
(Alternative Investments)
5-85-105-10
ポートフォリオ管理/資産計画
(Portfolio Management and Wealth Planning)
5-810-1535-40

【参考】
CFA Society Japan「CFAってどんな資格?」
CFA Institute, “Home”
CFA Institute, “CANDIDATE EXAMINATION RESULTS”

アクチュアリー

アクチュアリーとは、将来のリスク分析、評価等を専門とする専門職であり、数理業務のプロフェッショナルです。生命保険・損害保険事業のほか、年金事業、共済事業、企業の資産運用などのフィールドで活躍しています。
「アクチュアリー」自体は上記の職業を指す一般名詞ではありますが、日本では、日本アクチュアリー会がアクチュアリーの資格試験を実施しています。

アクチュアリー資格試験は、基礎科目となる第1次試験5科目、専門科目となる第2次試験2科目の計7科目に合格する必要があります。

  1. 第1次試験(基礎科目)
    • 目的:第2次試験を受けるに相当な基礎的知識を有するか否かの判定
    • 試験科目:5科目
      • 「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」
  2. 第2次試験(専門科目)
    • 目的:アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門知識および問題解決能力を有するか否かの判定
    • 試験科目:2科目(3つのコースから1つを選択)
      • 生保コース:「生保1」「生保2」
      • 損保コース:「損保1」「損保2」
      • 年金コース:「年金1」「年金2」

各科目の合格率は以下の通りです。

科目名合格者数合格率
第1次試験数学136人13.0%
生保数理230人36.3%
損保数理91人13.3%
年金数理64人13.1%
会計・経済・投資理論248人33.3%
第2次試験生保162人17.4%
生保263人19.8%
損保122人15.0%
損保222人18.5%
年金110人14.3%
年金215人17.6%

【参考】
日本アクチュアリー会「Home」
日本アクチュアリー会「アクチュアリーになるには」
日本アクチュアリー会「2020 年度資格試験結果について」

ファイナンシャル・プランナー(FP)

ファイナンシャル・プランナー(FP)とは、個々人や家族のライフプラン(人生設計)に基づく将来の収支の見通しを立て、最適な資産設計・資金計画を提案、アドバイスを行い、その実行をサポートする専門家です。

FPは、上記の職業を指す一般名詞ですが、FPとしての専門知識を有していることを証明するための資格が複数あります。

以下では、日本国内で一般的に知られているFP関連資格を3種類ご紹介します。

ファイナンシャル・プランニング技能士(技能検定)

ファイナンシャル・プランニング技能検定FP技能検定)は、職業能力開発促進法第47条第1項の規定に基づき指定試験機関の指定を受けて、日本FP協会及び金融財政事情研究会が実施する国家検定です。

FP技能検定には1級、2級、3級の3つの等級があり、学科および実技試験に合格すると、FP技能士(例:2級FP技能士)を名乗ることができます。

学科試験と実技試験の科目は以下の通りです。なお、学科試験の大項目は1-3級すべて共通となります。

  • 学科試験:6科目
    • 「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」
  • 実技試験:1科目(それぞれ選択)
    • 1級:「資産相続業務」「資産設計提案業務」
    • 2級:「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」「資産設計提案業務」
    • 3級:「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」「資産設計提案業務」

【参考】
日本FP協会「FP技能士の取得者数及び試験結果データ」
金融財政事情研究会「FP技能検定」

AFP(Affiliated Financial Planner)

AFPは、日本FP協会が運営するファイナンシャルプランナーの民間資格です。FP技能検定の2級に相当する資格となり、2022年4月時点で16万以上が認定されています。

AFPの認定を受けるためには、以下2つの要件を満たした上で、日本FP協会への登録申請を行う必要があります。

  • 2級FP技能検定合格
  • AFP認定研修の修了

また、2年ごとの資格更新の際に、所定の継続教育が義務付けられています。

【参考】
日本FP協会「AFP資格とは?」
日本FP協会「AFP認定者になるには」
日本FP協会「データで見るFP資格」

CFP(Certified Financial Planner)

CFPは、北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界26カ国・地域で導入されている、ファイナンシャルプランナーの国際的な資格です。FP技能検定1級に相当するとされています。
CFP資格の質向上と普及を目的とした非営利組織のFinancial Planning Standards Board Ltd. (FPSB)に、各国のFP資格認定組織が加盟し、各国の認定組織が実際にCFP試験の運営や資格認定を行っています。日本では、日本FP協会がCFPの認定を担っています。
2021年12月末時点で、世界26か国・地域に20万人以上、日本には約24,000人の認定者がいます。

CFPの認定を受けるためには、CFP資格審査試験6課目に合格する必要があります。審査試験の概要は以下の通りです。

  • 実施回数:年間2回
  • 出題形式:四肢択一式
  • 出題数:各50問
  • 試験時間:各2時間
  • 試験課目:6課目
    • 金融資産運用設計
    • 不動産運用設計
    • ライフプランニング・リタイアメントプランニング
    • リスクと保険
    • タックスプランニング
    • 相続・事業承継設計

なお、審査試験を受験するためには、AFPの認定を受ける必要があります。
また、審査試験合格後に、CFPエントリー研修を受講・修了する必要があるほか、最終的なCFPの認定を受けるためには3年以上の実務経験が必要となります。

【参考】
日本FP協会「CFP資格とは?」
日本FP協会「CFP®資格審査試験 試験結果データ」
Financial Planning Standards Board Ltd. (FPSB) Homepage

DCプランナー (企業年金総合プランナー)

DCプランナーは、日本商工会議所と金融財政事情研究会の共催による認定試験に合格し、日本商工会議所に登録することで与えられる公的資格です。
年金教育の専門家として、年金制度全般にわたる正しい知識を普及・啓発する役割を担うとともに、新しい年金制度を適切に運営・管理する実務家として、法令を遵守し、加入者保護の視点から説明責任や受託者責任を果たす、といった役割が期待されています。
※なお、「DC (Defined Contribution)」とは「確定拠出年金」を指します。

DCプランナー試験は、2021年度から試験方式が大幅に変わりました。CBT(Computer Based Testing)方式に変更となり、出題形式は、四問択一式と総合問題の2つとなります。

出題科目は、1級・2級ともに以下の3科目です。

  1. 年金・退職給付制度等
  2. 確定拠出年金制度
  3. 老後資産形成マネジメント

【参考】
金融財政事情研究会「DCプランナーとは」
日本商工会議所「DCプランナー>受験者データ」

貸金業務取扱主任者

貸金業務取扱主任者は、貸金業者において、貸金業に従事する従業者等に、貸金業に関する法令を遵守し、貸金業の業務を適正に実施するために必要なものを行わせるための助言又は指導を行う役割を担う人を指します。貸金業法において上記のような役割が定義されている国家資格となります。

貸金業者は、営業所又は事務所毎に、貸金業務取扱主任者を法令(貸金業法施行規則)で定める数を設置することが必要であるとされています。その点で、貸金業務取扱主任者は、いわゆる「設置義務資格」にあたります。

貸金業務取扱主任者になるには、日本貸金業協会が行う資格試験に合格し、その後、講習を受講した上で貸金業務取扱主任者として登録される必要があります。

資格試験は筆記試験(50問、4肢択一方式)となっています。
試験科目は以下の通りです。

  1. 法及び関係法令に関すること(貸金業法、利息制限法など)
  2. 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること
    • 民事法(民法・商法を中心とするその他の関連法令)
    • 民事手続法(民事訴訟法、民事執行法及び民事保全法を中心とするその他の関連法令)
    • 倒産法(破産法、民事再生法を中心とするその他の関連法令)
    • 刑事法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、及び犯罪による収益の移転防止に関する法律を中心とするその他の関連法令)
  3. 資金需要者等の保護に関すること(個人情報保護法、消費者保護法など)
  4. 財務及び会計に関すること
    • 家計診断
    • 財務診断

【参考】
日本貸金業協会「貸金業務取扱主任者専用サイト」
日本貸金業協会「貸金業務取扱主任者 試験の結果について」

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