経理・財務・会計系の資格・検定一覧

経理や財務・会計系の職種では、組織のお金を扱うという業務の性質上、制度や実務に関する相当の知識・専門性が求められ、それを証明する資格や検定が多数準備されています。
また、経済・経営系の学部に在籍する学生の方も、在学中に何らかの資格取得を目指している方は多いのではないでしょうか。

本記事では、財務・会計系の職種の方、経済学部・経営学部出身/在学の方におすすめの資格・検定を一覧にして紹介します。経理・財務・会計領域でのスキルアップ・キャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。


経理・財務・会計系の資格・検定一覧

資格/検定名称種類年間
試験
回数
合格者数
(R2)
合格率
(R2)
公認会計士国家
資格
1回
(※1)
1,335人10.1%(※1)
税理士国家
資格
1回5,402人20.3%
日商簿記検定公的
資格
3回
(※2)
1,158人(1級)
7,255人(2級)
30,654人(3級)
13.5%(1級)
18.2%(2級)
47.4%(3級)
BATIC (国際会計検定)公的
資格
2回
(※3)
8.2%(Controller)
13.0%(Accounting Manager)
米国公認会計士
(U.S.CPA)
国際
資格

(※4)
(不明)
(※4)
(不明)
(※4)
経理・財務スキル検定
(FASS検定)
民間
資格
2回
(※5)

(※5)
経理事務パスポート検定
(PASS)
民間
資格

(※6)
(不明)(不明)
ビジネス会計検定民間
資格
2回53人(1級)
1,093人(2級)
2,927人(3級)
24.4%(1級)
51.5%(2級)
67.7%(3級)

※1:筆記試験は2回実施。合格率は、論文式試験合格者(最終合格者)/願書提出者にて算出。
※2:1級は年間2回実施。
※3:1年間の実受験者は1,282人。取得点数によって4段階にクラス分けされる。
※4:コンピュータ形式の試験であり、年間を通して受験可能。2017年日本人受験者総数は2,041名
。2017年4科目平均の合格率は34.3%。
※5:2021年3月末時点で、総受験者数67,550人。レベルAが16.6%、レベルBが16.3%。
※6:いつでも受験可能。

各資格・検定の概要

公認会計士

公認会計士とは、公認会計士法に定められる国家資格であり、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することが主な役割となります。
財務・会計領域における最高難度の国家資格といわれており、監査法人をはじめとして、幅広い業界・領域でその専門性を活かすことができます。

公認会計士の主な業務は以下の通りです。

  • 財務書類の監査又は証明
  • 財務書類の調製
  • 財務に関する調査・立案
  • 財務に関する相談対応

試験は、短答式(一次)と論述式(二次)から構成されています。各試験の詳細科目は以下の通りです。

  • 短答式:4科目
    • 財務会計論
    • 管理会計論
    • 監査論
    • 企業法
  • 論文式:5科目
    • 会計学
    • 監査論
    • 企業法
    • 租税法
    • 選択科目から1科目(経営学、経済学、民法、統計学)

試験合格後、実務補習を受け、修了考査に合格することで、公認会計士になることができます。


【参考】
公認会計士・監査委員会「公認会計士試験」
日本公認会計士協会「公認会計士とは」

税理士

税理士とは、税理士法に定められる国家資格であり、税務に関する専門家として、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。

税理士の主な業務は、以下の通りです。特に、上の3つについては税理士法第2条に定められる独占業務となります。

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談
  • その他(記帳代行、コンサルティング・アドバイザリー業務、会計参与 等)

試験は筆記試験のみであり、科目別に計5科目の合格が求められます。科目は、必修科目・選択必修科目・選択科目の3つに分かれています。科目の詳細は以下の通りです。

  • 必修科目:2科目
    • 簿記論
    • 財務諸表論
  • 選択必修科目:1科目
    • 所得税法
    • 法人税法
  • 選択科目:2科目
    • 消費税法または酒税法(どちらか1科目のみの選択)
    • 相続税法
    • 固定資産税
    • 国税徴収法
    • 住民税または事業税(どちらか1科目のみの選択)

【参考】
国税庁「税理士試験」
国税庁「税理士制度」
日本税理士会連合会「税理士とは」

日商簿記検定

日商簿記検定は、その名の通り、会社・組織の日々の経営活動を記録・管理する「簿記」に関しての知識・技能を測定する公的な検定試験です。日本商工会議所が主催しています。
2021年8月時点で158回実施されており、年間50万人以上が受講している社会的にも認知度の高い検定試験となっています。

1級から3級までの区分のほか、「簿記初級」「原価計算初級」の計5区分が設定されています。
1~3級における合格水準は以下の通りです。

  • 1級:極めて高度な商業簿記、工業簿記、原価計算ならびに会計学を修得し、財務諸表規則や企業会計に関する法規を理解し、経営管理や経営分析ができる。
  • 2級:高度な商業簿記および工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表を読む力がつき、企業の経営状況を把握できる。
  • 3級:経理関連書類の読み取りができ、適切な処理を行えるようになる。

試験科目は、級によって微妙な差異があります。詳細は以下の通りです。

  • 1級
    • 商業簿記
    • 会計学
    • 工業簿記
    • 原価計算
  • 2級
    • 商業簿記
    • 工業簿記(原価計算を含む)
  • 3級
    • 商業簿記

【参考】
日本商工会議所・各地商工会議所「商工会議所の検定試験 簿記TOP」
東京商工会議所「日商簿記検定試験」


BATIC (国際会計検定)

BATIC国際会計検定:Bookkeeping and Accounting Test for International Communication)は、東京商工会議所が主催する、グローバルなビジネスシーンに不可欠な英語力と国際会計スキルを同時に測る公的な検定試験です。

1000点満点のスコア制を採用し、点数に応じて4段階の称号が与えられます。また、試験はSubject1(英文簿記、400点)とSubject2(国際会計理論、600点)に分かれています。
各称号の名称と必要点数は以下の通りです。

  • Controller Level:880~1000
  • Accounting Manager Level:700~879
  • Accountant Level:320~699
  • Bookkeeper Level:200~319

【参考】
東京商工会議所「BATIC 国際会計検定 HOME」

米国公認会計士(U.S.CPA)

米国公認会計士(U.S. Certified Public Accountant、USCPA)とは、米国各州が認定する公認会計士資格です。
出願州を選択したうえで、米国公認会計士協会(American Institute of Certified Public Accountants;:AICPA)が作成する共通の試験に受験・合格する必要があります。

試験は4科目からなり、詳細は以下の通りです。

  • Financial Accounting & Reporting(財務会計、FAR)
    • 一般事業企業・非営利団体・政府機関等に関わる会計知識及びその応用能力
  • Regulation(法規、REG)
    • アメリカ連邦税法、職業倫理、商法の知識及びその応用能力
  • Business Environment & Concepts(企業経営環境・経営概念、BEC)
    • 商取引環境に関わる知識及びその応用能力
  • Auditing & Attestation(監査及び諸手続き、A&A)
    • 監査手続・GAAS・証明業務等に関わる知識及びその応用能力

各科目ごとに、基本的な問題を解いてゆくMultiple Choice問題(4択問題)と、詳細な設定問題に解答するTask-Based Simulation問題、記述で解答するWritten Communication問題(BECのみ)で行われます。

なお、米国公認会計士試験を受験するためには受験資格が必要です。受験資格は大別して学位要件と単位要件に分けられ、その内容は州によって異なります。

【参考】
National Association of State Boards of Accountancy, “CPA Exam”
Japan Society of USCPAs, “Home”

経理・財務スキル検定 (FASS検定)

経理・財務スキル検定FASS検定、Finance & Accounting Skill Standard)は、経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」をベースに米国テスト理論を取り入れることで、経理・財務分野における客観的な実務知識・スキルの習得度を測る民間の検定試験です。
日本CFO協会が経済産業省の委託事業として開発し、試験の運営・実施を行っています。

試験範囲は、「経理・財務サービス・スキルスタンダード」のうち、定型業務として標準化された業務が対象となります。
具体的には、「資産」「決算」「税務」「資金」の4分野から構成されます。
また、上記に加え、任意で「オプション科目」に回答することもできます。

試験結果は、合否ではなく、A~Eの5段階で評価が行われます。

【参考】
日本CFO協会「FASS検定 検定の概要」

経理事務パスポート検定(PASS)

経理事務パスポート検定PASS)は、経済産業省「経理・財務サービススキルスタンダード」に準拠した民間の検定試験です。日本CFO協会とパソナが共同で開発しています。
経理・財務スキル検定(FASS)が対象としている幅広い経理・財務業務ではなく、事務スタッフに求められる経理知識に範囲を限定しています。

検定は、1級から3級までの3段階のレベルに区分されています。

【参考】
日本CFO協会「経理事務パスポート検定講座」

ビジネス会計検定

ビジネス会計検定は、財務諸表に関する知識や分析力を問う検定試験で、財務諸表が表す数値を理解し、ビジネスに役立てていくことに重点を置いています。
大阪商工会議所、施行商工会議所が主催する公的資格(試験)となります。

1級から3級までの3つのレベルが設定されており、各級の到達目標は以下の通りです。

  • 1級:企業の成長性や課題、経営方針・戦略などを理解・判断するため、財務諸表を含む会計情報を総合的かつ詳細に分析し企業評価できる力を身につける。
  • 2級:企業の経営戦略や事業戦略を理解するため、財務諸表を分析する力を身につける。
  • 3級:会計の用語、財務諸表の構造・読み方・分析等、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につける。

試験範囲は、級ごとにことなりますが、基本的には「財務諸表の構造や読み方、関連法令に関する知識」「財務諸表の分析」の2つの科目から構成されます。

【参考】
大阪商工会議所「ビジネス会計検定試験」



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