法律・法務・知的財産系の資格・検定一覧

法務や知的財産系の職種は、国家資格の種類が豊富であり、資格を取得することで様々なキャリアの可能性を開くことができます。
また、法学部に在籍する学生の方も、在学中に何らかの資格取得を目指している方は多いのではないでしょうか。

本記事では、法務系・知的財産系の職種の方、法学部出身/在学の方におすすめの資格・検定を一覧にして紹介します。法務・知的財産領域でのスキルアップ・キャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

法律・法務・知的財産系の資格・検定一覧

資格/検定名称種類開始
年度
年間
試験
回数
合格者数
(R2)
合格率
(R2)
司法試験
(弁護士・検察官・裁判官)
国家
資格
1872年1回1,450人39.2%
司法書士国家
資格
1978年1回595人5.2%
行政書士国家
資格
1951年1回4,470人10.7%
弁理士国家
資格
1899年1回287人9.7%
海事代理士国家
資格
1951年1回156人(筆記)
128人(口述)
54.2%(筆記)
64.3%(口述)
法学検定民間
資格
2000年1回805人(基礎)
390人(中級)
65.5%(基礎)
58.4%(中級)
ビジネス実務法務検定公的
資格
(不明)
(※1)
2回
(※2)
46人(1級)
2,990人(2級)
7,097人(3級)
12.4%(1級)
43.4%(2級)
75.7%(3級)
知的財産管理技能検定
(※3)
国家
資格
2008年3回19人(1級(特許)学科)
45人(1級(特許)実技)
819人(2級学科)
972人(2級実技)
2,099人(3級学科)
1,925人(3級実技)
4.7%(1級(特許)学科)
81.8%(1級(特許)実技)
37.0%(2級学科)
42.1%(2級実技)
67.8%(3級学科)
65.1%(3級実技)
ビジネス著作権検定民間
資格
(不明)3回(不明)72.6%(2020年度平均)

※1:2021年10月~11月の試験が第50回目となる。
※2:2019年度、2020年度は1回のみ実施。
※3:合格者数・合格率は2020年11月実施分。合格率は合格者/申込者で計算。

各資格・検定の概要

司法試験

司法試験は、裁判官検察官又は弁護士を目指す人が、必要な学識・応用能力を備えているかどうかを判定するための国家試験です。

司法試験の受験資格を得るためには、以下の2つの方法があります。

  • 法科大学院 修了
  • 司法試験予備試験 合格

試験は、短答式と論文式の2つで構成されており、両者の成績を総合して最終的な合格判断が行われます。それぞれの科目は以下の通りです。

  • 短答式:3科目
    • 憲法
    • 民法
    • 刑法
  • 論文式:4科目
    • 公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目)
    • 民事系科目(民法、商法及び民事訴訟法に関する分野の科目)
    • 刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目)
    • 選択科目(知的財産法・労働法・租税法・倒産法・経済法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)・環境法のうち、受験者があらかじめ選択する1科目)

司法試験に合格後、約1年間の司法修習を経て、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)のいずれかになることができます。

【参考】
法務省「司法試験」

司法書士

司法書士とは、司法書士法に定められる国家資格であり、登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、個人や企業からの依頼で書類の作成や手続きの代行を行います。

司法書士の主な業務は、以下の通りです。

  • 登記又は供託手続の代理
  • (地方)法務局に提出する書類の作成
  • (地方)法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理
  • 裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成
  • 上記1~4に関する相談 など

試験は、一次の筆記試験と二次の口述試験から構成されています。
また、筆記試験は択一式と記述式から構成されています。科目の詳細は以下の通りです。

  • 択一式:11科目(下記は設問数の多い主要4科目)
    • 民法
    • 商法(会社法)
    • 商業登記法
    • 不動産登記法 など
  • 記述式:2科目
    • 不動産登記
    • 商業登記

【参考】
法務省「司法書士試験」
日本司法書士会連合会「Home」

行政書士

行政書士とは、行政書士法に定められる国家資格であり、行政へ許認可申請が必要な場合の書類作成、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行います。

行政書士の主な業務は、以下の通りです。

  • 書類作成業務
    • 国や地方公共団体など、官公署に提出する書類(土地利用に関する申請書・自動車に関する申請書・法人設立に関する申請書・入管および国籍に関する申請書など)
    • 事実証明に関する書類(会計帳簿・貸借対照表・損益計算書など)
    • 権利義務に関する書類(遺産分割協議書・各種契約書・示談書など)
  • 許認可申請の代理
  • 相談業務

試験は、択一式と記述式で構成されます。科目の詳細は以下の通りです。

  • 択一式:6科目
    • 憲法、行政法、民法、商法、基礎法学、行政書士の業務に関する一般知識等
  • 記述式:2科目
    • 民法(2問)、行政法(1問)

【参考】
一般財団法人 行政書士試験研究センター「Home」
日本行政書士会連合会「Home」

弁理士

弁理士とは、弁理士法に定められる国家資格であり、知的財産に関する専門家として、知的財産権の適正な保護や利用の促進、知的財産制度の適正な運用に関する業務を担います。

弁理士の主な業務は、以下の通りです。

  • 産業財産権の取得(独占業務)
    • 権利の取得、鑑定・判定・技術評価書、外国における産業財産権の取得及び対応
  • 産業財産権の紛争解決
    • 訴訟、裁判外紛争解決手続、輸出差止め
  • 取引関連業務・コンサルティング業務
    • 取引関連業務、契約の締結等、著作権管理業務

試験は、短答式筆記(一次)、論文式筆記(二次)、口述(三次)の3つから構成されています。各試験の科目の詳細は以下の通りです。

  • 短答式筆記:5科目
    • 特許・実用新案に関する法令
    • 意匠に関する法令
    • 商標に関する法令
    • 工業所有権に関する条約
    • 著作権法及び不正競争防止法
  • 論文式筆記:必須(3科目)+選択(1科目)
    • 必須:工業所有権に関する法令(特許・実用新案、意匠、商標)
    • 選択:理工(機械・応用力学、数学・物理、化学、生物、情報)、法律(民法)
  • 口述:工業所有権に関する法令(特許・実用新案、意匠、商標)

【参考】
特許庁「弁理士試験」
日本弁理士会「弁理士とは」

海事代理士

海事代理士とは、海事代理士法に規定されている国家資格であり、他人の委託により、国土交通省や都道府県等の行政機関に対して、海事関係諸法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続きや書類の作成等を行います。「海の法律家」とも呼ばれています。

海事代理士の主な業務は、以下の通りです。

  • 登記・海事法務に関する事務
  • 許認可事務
  • 船員労務事務

試験は、筆記試験(一次)と口述試験(二次)で構成されています。

  • 筆記試験
    • 一般法律常識:3科目
      • 憲法、民法、商法(第3編「海商」のみ対象。)
    • 海事法令:17科目
      • 国土交通省設置法、船舶法、船舶安全法、船舶のトン数の測度に関する法律、船員法、船員職業安定法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、海上運送法、港湾運送事業法、内航海運業法、港則法、海上交通安全法、造船法、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律、領海等における外国船舶の航行に関する法律、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律及びこれらの法律に基づく命令
  • 口述試験
    • 海事法令:4科目
      • 船舶法、船舶安全法、船員法、船舶職員及び小型船舶操縦者法

【参考】
国土交通省「海事代理士になるには」

法学検定

法学検定は、公益財団法人日弁連法務研究財団と公益社団法人商事法務研究会が共同で組織した法学検定試験委員会が実施している、法学に関する学力を客観的に評価する民間の検定試験です。

2012年からは、以下の3コースの検定が実施されています。

  • ベーシック〈基礎〉コース
  • スタンダード〈中級〉コース
  • アドバンスト〈上級〉コース

憲法・民法・刑法と法学入門/一般/基礎論の4科目を必修とし、スタンダードコースでは1科目、アドバンストコースでは2科目を、選択科目としてその他の法律から選択する必要があります。

【参考】
公益財団法人日弁連法務研究財団「法学検定/既修者試験」

ビジネス実務法務検定試験

ビジネス実務法務検定試験は、東京商工会議所が主催する公的な検定試験で、ビジネスに不可欠なコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識を体系的かつ効率的に身につけることを目的とした試験です。

試験は1級から3級に分かれており、各級におけるそれぞれの想定水準は以下の通りです。

  • 1級:業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定)
  • 2級:企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家に対する相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。(知識レベルのアッパーレベルを想定)
  • 3級:ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。(ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定)

科目は等級によって多少の差はありますが、以下のような、ビジネス上で必要となる法律知識に関する設問が中心となっています。

  • 企業取引の法務
  • 債権の管理と回収
  • 企業財産の管理と法律
  • 企業活動に関する法規制
  • 企業と会社の仕組み(会社法)
  • 企業と従業員の関係(労働法) など

【参考】
東京商工会議所「ビジネス実務法務検定試験」

知的財産管理技能検定

知的財産管理技能検定は、技能検定の中の「知的財産管理」という職種に関する国家試験であり、知的財産を管理(マネジメント)する技能の習得レベルを測定・評価するものです。
合格すると、その等級と区分に応じた資格(称号)を名乗ることができます(例:「一級知的財産管理技能士(特許専門業務)」)。

試験は1級から3級まで分かれており、特に1級については、「特許専門業務」「コンテンツ専門業務」「ブランド専門業務」の3つの区分があります。
それぞれの等級における想定水準は以下の通りです。

  • 1級:知的財産管理の職種における上級の技能者(知的財産管理に関する業務上の課題の発見と解決を主導することができる技能及びこれに関する専門的な知識の程度が必要)
  • 2級:知的財産管理の職種における中級の技能者(知的財産管理に関する業務上の課題を発見し、上司の指導の下で、もしくは外部専門家等と連携して、その課題を解決でき、一部は自律的に解決できる技能及びこれに関する基本的な知識の程度が必要)
  • 3級:知的財産管理の職種における初級の技能者(知的財産管理に関する業務上の課題を発見し、上司の指導の下で、もしくは外部専門家等と連携して、その課題を解決することができる技能及びこれに関する初歩的な知識の程度が必要)

試験範囲は等級によって異なります。
3級では知的財産の「保護」「活用」が中心であり、2級以上になると、さらに「戦略」「管理」「創造(調達)」が加わります。

【参考】
知的財産教育協会「知的財産管理技能検定」

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