18歳人口が減少する一方で、大学は増加し、現在は「大学全入時代」ともいわれています。
本記事では、大学をはじめとする高等教育機関への進学率と進学希望の推移について確認し、高校生の進学希望や実際の進学状況について改めて明らかにしたいと思います。
大学・高等教育機関への進学者数・進学率
まずは、大学及び高等教育機関への進学者数、および進学率の推移について確認したいと思います。
※高等教育機関とは、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校(専修学校専門課程)を指しています。
※本記事では、文部科学省「学校基本調査」のデータを活用しています。
文部科学省「学校基本調査」
18歳人口は、1990年代初期の200万人前後の頃から下降を続け、2010年代後半には120万人弱で推移しています。一方で、大学・短期大学への進学者については、1990年代初期と比べても大きく下がることはなく、2019年には68.3万人となっています。
また、大学と短期大学とを比べると、その推移は大きく異なります。大学への進学者数は、2010年ごろまで増加し続け、2010年代の18歳人口減少の期間でも60万人弱のまま変わらず推移、2019年度には過去最大の63.1万人となっています。
一方、短期大学については、1990年代初期には進学者数が25万人を超えていましたが、そこから18歳人口以上の減少率で減少し続け、2011年度には6万人台に、2019年度には5.1万人となっています。
また、1976年度に新たな学校制度として創設された専門学校への進学者は、1990年代初期に36万人強まで増加しています。その後、18歳人口減少に伴い減少傾向となりますが、短大と比して減少率は低く、2019年でも28万人が進学しています。
高等教育機関への進学率は、2019年に過去最大の82.8%を記録しています。特に、大学の53.7%、専門学校の23.8%は、それぞれ過去最大値となっています。
学校種ごとの推移をみると、大学については2009年度に初めて50%を超えてから、その後も漸増傾向を示しています。一方、短期大学については、1994年に過去最高となる13.2%の進学率となるも、そこから減少が続き、2019年度には4.4%となっています。
専門学校への進学率は、1999年度に20%を超え、そこから20%前半で推移、2010年代は22~23%程度で大きな変化なく推移しています。
大学・短大への進学希望者数
続いて、高校卒業生の大学や短大への進学希望者数の推移と、実際の進学者数や18歳人口との比率について確認します。
※前章の高等教育機関への進学者数には、各年度について過年度卒業生も含めて計算していましたが、以降のデータでは、原則として当該年度の卒業生のみを集計の対象としています。そのため、大学・短期大学への進学者数等に乖離が生じています。
18歳人口に占める大学等への進学希望率は、1980年度では0.40ですが、その後漸増を続け、2010年代には0.55前後で推移しています。
また、進学者一人当たりの進学希望者数に関しては、男性よりも女性のほうが小さい(=女性のほうが、希望通りに進学できている人の割合が高い)傾向があります。全体としては、2010年代では1.1強(進学志望者11人に対して10人が進学)となっています。